- STUDIO
- 2026.06.16
学生からプロのエディターへ〜入社後に大きく変わったことやノイズに対する考え方について
初めまして。2026年4月MIT GATHRINGに入社致しました、エディターの大島と申します。3月まで専門学校に在籍し、レコーディングやPAを中心に、MA(マルチトラック・アッセンブリ)やSE制作など、幅広いサウンドプロダクションを学んでまいりました。
在学中からIzotope RXに触れる機会があり、ツールとしての可能性には早くから興味を持っていました。そして昨年、友人から依頼されたショートドラマの収録と音声編集を手がけたことが、私にとって大きな転機となりました。「声を扱う仕事」の繊細さと奥深さに触れ、気がつけばその世界に強く惹かれていた自分がいました。そうした経緯を経て、晴れてMIT STUDIOのエディターとして歩み始めることになりました。
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この記事では、学生時代と現在を比較しながら、「プロとして音にどう向き合うようになったか」をお伝えできればと思います。
働き始めて大きく変わったこと
専門学校では、レコーディング、PA、MA、SE制作と、実に多岐にわたる分野を並行して学んでいました。それぞれに面白さがあり、「何でもできるエンジニア」を目指していた時期もありました。しかし入社して最初に痛感したのは、「1つのことをとことん深める」という働き方の気持ちよさでした。
現在の私の業務は、ほぼノイズカット一本です。収録された音声に潜む不要なノイズを見つけ出し、丁寧に取り除く作業を日々繰り返しています。一見すると地味に思えるかもしれませんが、この仕事には終わりのない探究がある。1つの技術を極めていく過程には、学んでいた頃には感じられなかった充実感があります。これが私にとって、入社後もっとも大きな変化であり、同時にもっとも嬉しい発見でもありました。
音(ノイズ)への考え方
仕事が始まってから、音への知見がとても深まったように感じます。学生時代では、ノイズという大きな枠組みの中仕事を始めてから、音に対する解像度が大きく上がったと感じています。
学生時代、私がノイズとして意識していたのは主に次の3種類でした。
- リップノイズ(唇や口腔内が発する雑音)
- ポップノイズ(破裂音で生じる低周波のノイズ)
- ルームノイズ・ヒスノイズ(空間や機器由来の環境ノイズ)
在学中に行っていた編集作業では、この3種類を念頭に置いていれば概ね対応できていました。特にリップノイズは、当時の私にも比較的見つけやすく、処理の手ごたえも感じやすい種類でした。
ところが、実際に仕事を始めてみると、それまで意識したことすらなかったノイズの存在に気づかされました。それが「鼻鳴り(ネイザルノイズ)」です。

豚の鼻が鳴るような、独特のくぐもった音で、聴いた瞬間に「これは厄介だ」と直感しました。リップノイズのように波形上で視覚的に検出しやすいものとは異なり、鼻鳴りはスペクトログラムを細かく確認しながら、原因となっている帯域を特定し、手作業で丁寧に削っていく必要があります。De-Clickのような自動処理ツールではほぼ対応できず、エディターの経験と耳に頼るほかありません。
さらに難しいのは、この「鼻鳴り」がワンパターンではないことです。話者によって音の質や出方が異なるうえ、同じ話者でも収録日やマイクとの距離によって変化します。そもそもノイズを「見つける」こと自体が、処理と同じくらい、あるいはそれ以上に難しい作業なのだということを、入社してから身をもって知りました。
上司や先輩方が当たり前のようにこれらを見つけ、正確に処理していく様子を間近で見ると、「耳を育てる」とはどういうことかを、毎日実感させられます。まだまだ追いつくには時間がかかりますが、それが今の私にとって最も大切な課題です。
またこの「鼻鳴り」も、ワンパターンではなく色々な鳴り方がある為、処理だけではなく、そもそもこのノイズを見つけることが大変です。上司や先輩方のように耳を育て、それぞれのノイズを正確に処理して、聞きやすい綺麗なエディットを心掛けています。
「プロ」であることの自覚
今回は、新人エディターの目線から、入社してはじめて気づいたことをお話しさせていただきました。
文中で「プロ」という言葉を繰り返し使いましたが、私はどんな仕事でも、働き始めた瞬間から人はプロであると考えています。見習いであること、経験が浅いことは事実ですが、だからこそ「プロとしての自覚」を先に持つことが大切だと感じています。その自覚があってこそ、日々の作業への向き合い方が変わり、成長のスピードも変わってくるからです。
1日でも早く一人前のエディターとなれるよう、これからも音と真摯に向き合いながら研鑽を重ねてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
音声でお困りのことなどございましたら、ぜひお気軽にMIT STUDIOにご相談・お問合せ下さい。ご連絡お待ちしております。
著者:大島陽翔(エディター)