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  • 2023.06.21

新人エディターの業務レポート~入社後に変化した音の聴き方や音声編集方法について

初めまして、2023年3月にエディターとして入社致しました、養父と申します。前職は福岡県のとある放送局の方で、ITのお仕事をしておりました。前職はITという、音とはかけ離れた職種でしたが、放送局での勤務だったため、映像や音といった分野にも多少触れる機会がありました。

今回は、MIT STUDIOに入るまでの音の聴き方と、MIT STUDIOにエディターとして入社して数ヶ月経った現状での、音の聴き方の違いや、感じた事をお話させて頂きます。

MIT STUDIOに入社前の音の聴き方について

私はMIT STUDIOに入社する前、放送局でITのお仕事をしておりましたが、その時は流れてくる音に関して「注意深く聴く」というよりは「全体的な雰囲気」で、音を聴いていたと感じています。

テレビの話に絡めるとするならば、私は小さい頃、朝起きたらテレビが「何となく」点いていて、「何となく」ニュースなどを聴き流していたと記憶しています。この場合、主は「家庭内での朝の雰囲気」であり、「テレビから流れてくる情報」は付加価値的なものに過ぎないような気がします。何かをするための作業用BGM的な感じでしょうか。

音楽に関しても、個々の楽器や声などを「分析的に聴く」というよりは、その1曲を通して自分がどう感じたか、どのような感情になったかなど、最初にメンタルを経由してから、音を咀嚼するような聴き方をしていました。勿論、大人になるに連れて何の楽器が使われているかなどに興味を持ち、次第に聴き方に変化はありましたが、プロで活躍している方々の「主観的な音の聴き方」+「客観的な音の聴き方」を、両方の視点から見渡すまでには至りませんでした。

MIT STUDIO入社後の音の聴き方について

MIT STUDIOに入社後、まだ日は浅いですが、今までの「全体的な雰囲気」での音の聴き方からは離れ、「主観的な音の聴き方」+「客観的な音の聴き方」を、業務を通して感じております。

エディターはiZotope社のRXをというツールを使用し、皆様のお手元に届けられるゲームのボイス編集(ノイズ除去)を行っておりますが、そのノイズ除去方法も「一括で全体的に処理する」のではなく、シャトル(ShuttleXpress)とトラックボール(Kensington ExpertMouse)の両方を使い、ショートカットを駆使して、音声ファイルに存在するノイズを1つひとつ丁寧に除去していきます。

私はRX自体は何度が触った事はありましたが、De-Clickなどは、ある程度の値を決めて音声ファイル全体に一括掛けしていたので、その面でも入社前とは違いを感じました。一括掛けすれば作業時間の短縮にはなりますが、セリフ頭のアタック感も消えてしまう場合もあるので、「商業用の音声を納品する」という意識を持ちながら、慎重かつ丁寧に除去作業を行っていく必要があります。

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ブレスをどこまで処理するか

エディターとしてノイズ除去は最重要ですが、その中でも、セリフ間の「ブレス」をどう処理するか(ブレスをカットするか否か)は、「主観的な音の聴き方」+「客観的な音の聴き方」の両方の視点から判断する必要があります。主観的に「この音声はブレスが多いから」という理由で、極端にブレスカットをしてしまうと、通して聴いた際にセリフ間で無音状態が続き、逆に不自然に聴こえてしまう場合があります。また、その状態で納品し、クライアント側から「ここのブレスは残したままで処理してください」との要望があった場合、ブレスの復元で時間を要してしまいます。

逆にブレスを残したまま納品し、クライアント側から「ここのブレスは不要なのでカットしてください」などの要望があれば、カットするだけなので、復元と比べて時間はかかりません。特にゲームのボイス編集は、この塩梅が難しいと感じます。

入社してから先輩方から教わった事の1つに「あるものを消すより、既に無いものを復元する事の方が難しい」という事を教わりました。上記のようなブレスの例を考えると、私自信も確かにそうだなと感じます。ノイズ除去は自分が思っている以上に奥深く、そして納期に間に合うように慎重かつスピーディーに行っていく必要がある。という事を入社した現在は実感しています。

私はまだ入社して3ヶ月ほどですが、MIT STUDIOには優秀な先輩方が多く存在し、プロフェッショナルの作業スピードや、丁寧さを見習う日々で奮闘しております。また、音声編集以外の納品作業やファイル整理、収録台本と音声のチェックなど細かな作業も沢山あるため、しっかりとインプットして業務に取り組んで行きたいです。今回は私のMIT STUDIO入社前と、入社後の音の聴き方の変化や感じた事について、ご紹介させて頂きました。

MIT STUDIOでは音声編集の他に、楽曲やボイスのレコーディング、音圧調整なども行っております。お困りやご相談の際には、お気軽にお問い合わせください。

著者:養父法昌(エディター)

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