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- 2021.01.08
新人レコーディングエンジニアの業務レポート〜スタジオメンテナンス
以前、レコーディングにおけるセッティングなどプログラム当日に関することを書きましたが、今回はスタジオのメンテナンスについてご紹介します!
関連リンク:新人レコーディングエンジニアの業務レポート~機材のセッティングや進行譜の準備について
プロレコーディングスタジオのメンテナンス
日々のレコーディングなどの業務をトラブルなく進めるためにはメンテナンスが欠かせません。MIT STUDIOでは一定の期間でメンテナンスの日を設けています。メンテナンスで行うのは大きく分けて以下の2つです。
- コンソールやその他機材の異常がないか確認
- 普段できないところの掃除
この中から一部をご紹介します。
■コンソールの掃除
主にドラフティングテープの貼り替えや、ラージフェーダー周りの掃除をします。スタジオにある機材の中でもコンソールのラージフェーダー近辺は特に触られる機会が多いため意外と汚れてしまいます。
掃除の手順
ドラフティングテープを剥がす。
↓
無水アルコールとガーゼを用いて汚れを拭き取る。
↓
ドラフティングテープを貼り直す。
以上、3行程がメインとなります。
単純作業ですが、第1スタジオ、第2スタジオ共に64チャンネルあるため、この掃除だけでもかなり時間がかかります。綺麗になったらテープの貼り直しです。実はテープの貼る位置は考えられており、コンソールのセンターセクションから見て、左側はフェーダーの右に、右側にはフェーダーの左に貼っています。
こうすることでフェーダーをコントロールするときにテープに書いた目印が、手で見えなくなるということを防いでいます。
■モジュールの各スイッチのガリ(ノイズ)除去
ヘッドアンプ、ダイナミクス、EQ(イコライザー)など様々なスイッチがついていますが、使わない期間が長かったり、不調があったりすると押した際にノイズが出てしまいます。中に埃が入ってしまったり、使わないうちに錆びてしまったなどが主な原因に挙げられます。
ノイズの除去方法はいたってシンプルです。
1チャンネルずつ信号を入れ、ノイズが取れるまで各ボタンをひたすら連打します。
古典的に見えるかもしれませんがかなり効果的です。この作業をしても大きなガリが出る場合はそのモジュールを取り外し、専門業者の方に見てもらいます。この作業の繰り返しでガリの少ないコンソールを維持できるようにしています。
掃除同様64チャンネル分やるとかなり体力を消費します。(筆者は初めてこの作業をした翌日腱鞘炎になっていました。)
■パッチケーブルのチェック
この作業は毎回ではありませんが定期的に行なっています。レコーディングの際、回線を作る際に必ず使うのがこのパッチ盤です。
そして、マイクからマイクプリやコンプレッッサーなどの機材、コンソールやProToolsなどを繋ぐ非常に重要な役割を果たすのがパッチケーブルです。このケーブルの調子が悪いと録る音にノイズが乗ってしまったり、音が来なくなってしまうことがあります。プログラム中にこのようなことが起こりお客様をお待たせすることがないよう、チェックする際は念入りに行なっています。
いかがだったでしょうか。簡単ではありましたが普段お見せすることがほぼ無いメンテナンスのご紹介でした。お客様に快適にご利用いただけるよう綺麗で使いやすいスタジオを心がけております。
また、メンテナンスをすることにより機材をはじめとしたスタジオの状態を自分自身で見て、確認できます。レコーディングエンジニアのアシスタントとしてスタジオの状態は誰よりも詳しくあるべきだと思っています。何が起こっても対応できるよう知識と経験を日々積み重ね、多くの方の音楽制作に携わらせていいただけるように精進してまいります!