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  • 2026.09.15

【Pro Tools Tips】バージョン2026.4~アップデートを徹底解説

MIT CREATIVEではテレビCM、ラジオCM、企業VP(ビデオパッケージ)、ゲームやYouTubeで使われる楽曲制作や、選曲、効果音制作など、音に関わる様々な業務を幅広く行っております。

MIT STUDIO全スタジオ、DAWはProToolsを使用しており、2026年9月現在、Pro Tools 2026.4が最新バージョンですが各スタジオのバージョンは各スタジオサイトにてご確認ください。今回の最新バージョン2026.4の新機能をまとめてみましたのでご紹介いたします。

Pro Tools 2026.4 徹底解説~Track Pinからイマーシブ、Massive X Playerまで

Avid Pro Toolsの最新バージョン「2026.4」が登場しました。今回のアップデートは、「大規模セッションを快適にする作業効率機能」、「放送・配信の新時代に対応するイマーシブ(立体音響)機能」、そして「音づくりを楽しむための新音源」の3方向が同時に強化された、盛りだくさんな内容になっています。

この記事では、スタジオの現場で毎日Pro Toolsを触るエンジニアの方にも、自宅で音楽制作を楽しむクリエイターの方にも役立つように、新機能を一つずつ噛み砕いて解説していきます。「自分の作業のどこが速くなるのか」、「アップデートする価値があるのか」を判断する材料にして頂けたら幸いです。

プロ(特に大規模セッション・ポスプロ・放送)にとっての目玉は、トラックを画面に固定できる「Track Pin」、放送標準「MPEG-H」への対応、そしてSpeech-to-Text(音声のテキスト化)の実用性向上です。

楽曲製作者、クリエイターにとっての目玉は、Native Instrumentsの人気シンセエンジンが使える「Massive X Player」と、無償で配布される音源・プラグイン群です。地味だけれど日々の作業に効く小さな改善(Batch File Rename、グリッド線の明るさ調整など)も、多数追加されています。

なお、Track Pinは全エディションで使えますが、MPEG-HやDolby Headphone、Speech-to-Textの一部は上位版のStudio / Ultimate限定です。ご自分のエディションと照らし合わせながら読み進めてください。

1. Track Pin ― 大規模セッションの「探す・迷子になる」を解決

今回の一番の目玉が「Track Pin(トラックのピン留め)」です。Track Pinとは選んだトラックを、編集ウィンドウの一番上に固定(ピン留め)できる機能です。ピン留めしたトラックは、いくらスクロールしても画面から消えず、常に見える位置に留まり続けます。その下を、セッションの他のトラックが自由に流れていくイメージです。数百トラックにもなる大きなセッションでは、「マスターフェーダーを確認したいのに、上まで延々スクロールしないといけない」「離れた場所にあるトラック同士を見比べたいのに、いちいち探すのが面倒」といったストレスがつきものでした。

Track Pinを使えば、次のような使い方ができます。

ガイドとして使うトラックを固定する

セリフのタイミングを示す会話トラック、フレーズの手本になるボーカル、グルーヴの基準になるドラムなど、「常に見ておきたい基準トラック」を固定しておけます。

離れたトラック同士を並べて編集する

セッションの遠く離れた場所や、別のフォルダに入っているトラックを、わざわざセッションを組み替えなくても隣に並べて編集できます。ベースとキックのタイミングを詰める、Foley(フォーリー)や効果音を映像の音に合わせる、といった作業がスムーズになります。

さらに、グループ単位でピン留めすることも可能で、ピン留め専用のグループを作っておくといった応用もできます。トラック数が多い映画・ドラマのポスプロ、ゲーム音声、大編成の音楽ミックスを扱うプロには特に効果が大きい機能です。DTMerの方でも、トラックが増えてきたときに「リファレンス曲」や「リードボーカル」を固定しておくと、ミックスの見通しがぐっと良くなります。

2. MPEG-H対応 ― 放送・配信のイマーシブ新標準に対応(Studio / Ultimate限定)

Pro Tools 2026.4は、MPEG-Hという立体音響の規格に新しく対応しました。私はあまり詳しくないためAIに聞きながらまとめました。

MPEG-Hとは

MPEG-Hは、南米やアジアの放送局を中心に採用が広がっている、オブジェクトベースのイマーシブ音声規格です。「オブジェクトベース」というのは、音を「右チャンネル・左チャンネル」といった固定の場所ではなく、「音の粒(オブジェクト)」として空間に配置していく考え方のことです。

MPEG-Hの特徴は、制作段階でインタラクティブな音声オプションを作り込める点です。たとえば、視聴者側で「複数のイマーシブミックスから選ぶ」、「言語を切り替える」、「セリフを聞き取りやすく強調する」、「音の位置を調整する」といった操作ができるように設計できます。

3. 新しいイマーシブパンナー ― 立体音響のパン作業を高速化(Studio / Ultimate限定)

MPEG-H対応にあわせて、新しい「Pro Tools Immersive Panner(イマーシブパンナー)」も、追加されました。これは音を立体空間に配置するためのツールで、MPEG-HとAudio Vividのレンダラーでのオブジェクトパンニングに対応します。モノラルからマルチチャンネルまで、最大9.1.6chのオブジェクトソースを扱えます。UIはスピード重視でシンプルになりつつ、プロ向けの細かなコントロールも残されています。

注意点

このイマーシブパンナーは、現時点ではMPEG-HとAudio Vividのオブジェクトにのみ対応しており、Pro Toolsミキサー本体・Dolby Atmos・360RAには非対応です。これらを扱う場合は、従来のPro Tools Pannerを使い続ける必要があります。ここは混同しやすいので、導入前に必ず確認してください。

4. Dolby Headphone Personalization ― ヘッドホンでのAtmosミックス精度を向上(Studio / Ultimate限定)

Dolby Atmosをヘッドホンでミックスするときの精度を高める「Dolby Headphone Personalization」が追加されました。

仕組み

人は誰しも耳や頭の形が違い、それによって音の聞こえ方(空間の感じ方)が変わります。この機能は、一人ひとりの頭・耳の形をもとにした「HRTF(頭部伝達関数)」という個人プロファイルを使い、ヘッドホンでの立体音響を、より実際のスピーカーに近い聞こえ方に補正します。

5. Speech-to-Text(音声のテキスト化)の強化(Studio / Ultimate限定)

2025.6で登場した「Speech-to-Text Engine」は、話した声や歌った声をテキストに書き起こし、文字として検索・編集できる機能です。下記は主な改善点です。

字起こしデータの引き継ぎ(Passthrough)

これまでは、AudioSuiteプラグイン処理、Consolidate、Commit、Track Bounceなどをすると、書き起こしデータが消えてやり直しが必要でした。2026.4では、新しく作られたファイルにも文字起こしデータが自動で引き継がれます。クリップの境界をまたぐ選択や、複数クリップを含む選択でも、単語ごとのタイミング情報が保持されます。

タイムライン選択を単語・文・話者で分割

これまでクリップ単位でしかできなかった「単語・文・話者ごとの分割」が、タイムライン上の選択範囲にも拡張されました。複数のクリップやトラックをまたぐ選択も、単語・文・話者ごとにサッと切り分けられます。

トラックごとに文字起こしレーンの表示/非表示を切り替え

右クリックメニューから「Show Transcription Lane」を選べるようになり、特定のトラックだけ文字起こし表示を出す/消すといった調整が可能になりました。前回のアップデートではまだ使い物にならなかったのですが、今回のアップデートでかなり制度が上がったと聞いておりますので早く試してみたいですね。

6. Batch File Rename ― ディスク上のファイル名も一括変更(Studio / Ultimate限定)

これまでのBatch Rename機能は、セッション内のクリップやトラックの名前は一括変更できても、ディスク上の実ファイルそのものの名前は変えられませんでした。

2026.4では、Batch Clip Renameウィンドウに「Rename Clip and Disk File」オプションが追加され、クリップ名とファイル名を一度にまとめて変更できるようになりました。納品ファイルの整理や、大量ファイルの命名統一が一気に楽になります。

安全面にも配慮されており、ファイル名変更の前には必ずプリフライトチェックが走り、名前の重複や権限の問題があれば警告が出ます。なお、1つのファイルが複数のサブクリップを持てる仕組み上、サブクリップが選択に含まれているとディスクファイルの改名はできません。そのため、「Whole File Clips」「Subclips」でクリップリストを絞り込むフィルタも追加されています。

納品作業が多いスタジオ業務では、地味ながら日々の手間を大きく減らしてくれる改善です。

7. Massive X Player と無償音源 ― クリエイターに嬉しい「作る楽しさ」

ここからは音楽制作・クリエイターに刺さる内容です。

Massive X Player

Native Instrumentsの人気シンセ「Massive X」のエンジンが、「Massive X Player」としてPro Toolsに直接組み込まれました。攻撃的なベースやリード、じわじわ変化するパッド、映画的なテクスチャーまで、幅広い音づくりが可能です。

8. 細かいけれど効く「featurette(小改善)」まとめ

派手さはないものの、日々の作業でじわじわ効いてくる改善もたくさん入っています。

トラック複製ダイアログの強化

トラックを複製するとき、「トラックコメント」「Elastic Audio」「ARAアサイン」を含めるか除外するか選べるようになりました。これまで一律コピーされていた要素を、必要なものだけ引き継げます。

Track Commit / Extract MIDIに「Mute Source Track」追加

オーディオ化やMIDI抽出をした直後に、元トラックをミュートして結果をすぐ確認できます。元トラックは残るので、A/B比較や再編集が手軽にできます。

Missing Pluginsダイアログのテキスト出力

他スタジオからセッションを受け取ったときに、不足プラグインの一覧をテキストファイルで書き出せるようになりました。チームで共有したり、インストールのチェックリストにしたりできます。

Solo Modeが右クリック一発

編集ウィンドウのSolo Statusボタンを右クリックして、Solo Modeを設定できるようになりました。作業の流れを止めずに切り替えられます。

Elastic Audio / ARAプラグインのお気に入り登録

よく使うタイム/ピッチ処理やARAワークフローを「お気に入り」に設定でき、トラック作成時のセットアップ時間を短縮できます(Mac:Command+クリック、Windows:Control+クリック)。

グリッド線の明るさ・不透明度を調整

UIカスタマイズ画面で、グリッド線の明るさと不透明度を、グリッドモード/非グリッドモードそれぞれで調整できるようになりました。モニターや照明、テーマに合わせて、編集の見やすさを最適化できます。

以上が今回のアップデート内容となります。日々の作業に使えそうな内容もありますのでアップデートの検討をしようと思います。

MIT CREATIVEでは、作曲・編曲、効果音制作、レコーディング、mix、キャスティングなど、一連の行程を、まとめて1度に行うことが可能です。テレビ/ラジオCMの音楽や、ゲーム音楽、YouTubeのオリジナル楽曲やBGM、タイトルで使用するジングル、サウントロゴ、効果音など幅広く承っていますので、音でお困りの方はぜひお気軽にご相談・お問合せ下さい

著者:廣澤拓郎(サウンドクリエイター)

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