TOP > TOPICS(更新記事一覧) > MIT Artists > 新人声優が意識しておきたいレコーディングスタジオ収録の知識3選
  • MIT Artists
  • 2026.04.09

新人声優が意識しておきたいレコーディングスタジオ収録の知識3選

以前、「新人声優が知っておきたい現場あるある~レコーディングスタジオ収録のポイント3選」という記事を掲載しました。

私自身、制作やマネージャーとして MIT STUDIO をはじめとした、レコーディングスタジオの現場に立ち会う中で、「ここはこうすればよいのに」と思うこともあれば、「これはどうするのが正解なんだろう」と疑問を持つこともあります。

近年は特にゲームボイスの現場に立ち会うことが多いため、今回は主に新人声優の皆様に向けて、ゲームの現場で意識しておくとよい3つの知識をお届けします。MIT STUDIO所属収録エンジニアの意見も取り入れているので、これから収録に臨む方の参考になれば幸いです。

関連記事:新人声優が知っておきたい現場あるある~レコーディングスタジオ収録のポイント3選

マイクに向けて発声する

何を当たり前のことと思うかもしれませんが、収録では、演技の良し悪しだけでなく「音量の安定」も非常に重要です。しかし新人の方に多いのが、お芝居に夢中になっているうちに声がマイクに当たらなくなってしまうケースです。

レコーディングスタジオのコンデンサーマイクは、小さな音もしっかり拾える高性能なものですが、指向性という概念は無視できません。ありがちなのが、収録を続けているうちに下を向いてしまうパターンです。セッティングした時の姿勢を維持しないと、音声が拾えなくなってしまいます。

芝居をする上でまったく動かないというのは難しいかもしれませんが、「マイクに当てる意識」を持つだけでも、収録の安定感は大きく変わります。

ダイナミックレンジを抑える

収録エンジニアからよく聞く話ですが、経験豊富なベテラン声優は、ウィスパーのように聴こえるセリフでも声量はしっかり出ているという方が多いそうです。逆に、思い切り叫んでいるように聞こえるセリフでも、レベルはそこまで振り切っていないということも。それぞれ「小さい声で話す芝居」、「大声で叫ぶ芝居」をしているということです。

セリフの大小に合わせてフェーダーを動かすのがエンジニアの仕事ではありますが、録音側で過度に調整することでノイズを拾いやすくなる場合もあり、演技側での調整も求められます。

具体的にどうすれば実現できるのかは技術的な部分も多いため、ここでは詳細には触れませんが、発声や支え方のコントロールが重要になります。ぜひ指導者の方に相談してみてください。

どこからリテイクをするべきか

リテイクの作法については前回の記事でも少し触れましたが、プロの声優でもミスした時には読み直しが発生します。その際、どこから読み直すのがよいでしょうか。ゲームのボイスはファイル単位で1ワードとみなされます。台本上は連番やIDなどで区別できるようになっています。よって間違えた場合はそのセリフの頭から読み直すのが基本です。

しかし、実装の都合上、「おりゃあ」という短いセリフも、3~4センテンス複合の長台詞もどちらも1ワード扱いとなります。

ここで疑問なのは、センテンスが複数あるセリフでも、間違えたら頭から読み直すべきなのかということです。結論を言うと、ケースバイケースとなります。

頭からすべて読み直して良いテイクがすぐ録れるならそれがベストです。しかし、早口言葉のように発声しづらいセリフも存在します。セリフの後半にその文言がある場合、そこだけやり直した方がスムーズに収録できることは間違いないでしょう。

厳密には別録りすると芝居がバラバラになるので、前のテイクとつなぐことはあくまで次善策なのですが、最善にこだわるあまり喉を消耗してしまうことはリスクがありますし、ハマってしまうと収録が押してしまう可能性も出てきます。

ディレクターが「前半良いテイク録れてるので、続きだけください」とリクエストする場合もありますし、声優さん自身の判断で切り返すポイントを作る場合もあります。結果その方がスムーズに良いものが録れる場合もあります。

新人声優としては「ラクしようとしてる」と思われるのは本望ではないでしょうから、頭からパーフェクトなテイクを録るべくリテイクを試みるのがよいと思います。なお、リテイクについては映像の有無などでも対応が変わります。あくまでオーソドックスなゲームボイス収録の現場という前提でお伝えしましたのでご理解ください。

収録はこうした小さな判断の積み重ねで成り立っています

収録現場では、技術だけでなく周囲との連携も重要な要素のひとつです。ほんの少しの意識と気配りで、収録の印象やクオリティは大きく変わります。これから現場に立つ皆さまにとって、今回の内容が少しでもヒントになれば嬉しいです。

著者:齋藤 亮(制作)

TOPICS一覧に戻る

topへ戻る