- MIT CREATIVE
- 2025.11.18
【Pro Tools Tips】バージョン2025.10~アップデートによる5つの要点をご紹介
MIT CREATIVEでは、テレビCM、ラジオCM、企業VP(ビデオパッケージ)、ゲームやYouTubeで使われる楽曲制作や、選曲、効果音制作など、音に関わる様々な業務を幅広く行っております。
エムアイティギャザリングでも長年愛用している「Pro Tools」ですが、2025年11月現在、Pro Tools 2025.10が最新バージョンです。恒例となっておりますが、今回もとても魅力的な新機能がいくつもありましたのでご紹介いたします。
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Pro Tools 2025.10は、ソニーの360 Reality Audioへ対応し、SoundFlowの統合、およびSpeech-to-Text機能の強化を特徴とする、機能豊富なアップデートです。
1. 没入型オーディオ制作の強化:Sony 360 Reality Audio (360RA)対応
360RAのネイティブサポート
AvidはPro Tools StudioおよびUltimateに、ソニーの360 Reality Audio(360RA)空間音楽ミキシングおよび配信を導入しました。360RAは、ソニーのオブジェクトベース360 Spatial Sound技術を利用したイマーシブ音楽フォーマットです。
完全球面ミキシング
360RAは、Dolby Atmosが水平方向と上方向へのオブジェクト配置に対応するのに対し、さらに下方向へのパンニングにも対応した完全球面のイマーシブミキシングを提供します。
プラグインの付属
Pro Tools StudioおよびUltimateのユーザーは、WalkMix PannerとWalkMix 360RA Rendererプラグインの限定バージョンを入手でき、セッション内で360RAコンテンツのミックスとモニタリングが可能になりました。
※限定版の機能制限として、まだ私が確認はできてないのですが、ADMインポート不可、レンダー可能なオブジェクト数が最大10、エクスポート長の制限があるそうです。
ワークフローの柔軟性
既存のDolby Atmosセッションから360RAミックスを開始でき、ステムや設定を引き継ぐことが可能です。同一セッション内で両方のイマーシブフォーマットのミックスと編集が可能であり、個別のマスタリングソフトウェアやレンダラーソフトは必要ありません。
イマーシブ制作の加速機能
- セッションを再度開くことなく、異なるレンダラー(例えばDolby Atmosと360RA)を切り替えることができるようになりました。元のレンダラーの設定は保存されます。
- レンダラーの切り替え時に、パンに関するデータが自動でコンバートされるダイアログが表示され、異なるフォーマット間でのオブジェクトパンニングの互換性が保たれます。
- 編集ウィンドウの上部メニューバーにRenderer Cluster Viewを表示することで、レンダラーの確認や変更、モニターフォーマットの変更などに瞬時にアクセスできます。
かなり360RAまわりが強化されましたね。まだ私自身触っていないのでこれから弄っていたきたいと思います。
2. ワークフローの自動化:SoundFlowの統合
ネイティブ統合
ワークフロー自動化プラットフォームのSoundFlowが、すべてのバージョンのPro Toolsに直接統合されました。SoundFlowは複雑なクリック操作の多いタスクを単一のキーストロークで処理するための自動化機能を提供します。
無料マクロ
すべてのユーザーは、トラック作成、ミックスのバウンス、プラグインナビゲーションなど、幅広いワークフローを加速するための1,700以上の無料マクロにアクセスできます。
SoundFlowパネル
新しいSoundFlowパネル(タブ)がPro ToolsのUIに統合され、そこからマクロにアクセスできます。
※ 開発者からの視点:SoundFlowの統合により、ユーザーによってはステムの一括バウンスのような機能(SoundFlowのマクロで自動化できる)が、今後Pro Tools自身の新機能として搭載されないのではないかという憶測もあります。
この機能が私的には一番の目玉です。SoundFlowはまわりの音楽エンジニアも使用している方が多く、独自のマクロを組み、作業の時短を行っております。また外部の機器Stream Deckを使用して自分の作業効率化を高めることもできますので、かなり普及していくのではないかと思いますので楽しみな機能です。さらにAI搭載のSession Assistantも利用できるようなのでこちらも試してみたいですね。
3. Speech-to-Text機能の拡張と効率化
Pro Tools 2025.6で導入されたSpeech-to-Textエンジン(音声や歌詞をテキスト化する機能)がさらに強化されました。
文字起こし(トランスクリプション)の編集
文字起こしされたテキストを、編集ウィンドウまたはトランスクリプトウィンドウ内で修正できるようになりました。具体的には、単語の編集(または分割)、複数の単語の結合、不要な単語の削除が可能です。
セッション外での文字起こし
Workspaceを使用して、セッションを開かずにファイルやフォルダの文字起こしをバックグラウンドで実行できるようになりました。これにより、大量のロケーションダイアログファイルなどをセッションにインポートする前に検索可能になります。
トランスクリプトウィンドウの機能追加
- 単語、文、または話者ごとにクリップを自動分割できるようになりました。
- 選択した単語をカーソル位置に挿入できます(Spot to Edit Insertion)。
- 非表示トラック上のクリップの表示/非表示を切り替えられます。
- 検索履歴が最大20個記憶されます。
パフォーマンス維持
文字起こしデータが多いセッションの再生パフォーマンスを維持するために、「Reduce Visual Effects」設定が追加され、背景の透明度などの視覚効果を制御できるようになりました。Speech-to-Text機能は調査中です(日本語の精度が上がってるといいのですね)。
4. その他の機能強化と改善
パンデータの保持
トラックの出力(アウトプットやセンド)を変更または削除する際に、パンコントロールやオートメーションデータが意図せず完全に失われることがなくなりました。互換性のない出力にルーティングされた場合でもデータは保持され、互換性のある出力が再割り当てされると自動的に復元されます。
アプリ内チュートリアル
新しい「Learn」パネル(SoundFlowを利用)が編集ウィンドウの右側に導入されました。これは、初期設定、録音、編集、MIDI操作など、基本的なPro Toolsのワークフローをカバーするインタラクティブなガイド付きツアーを提供します。
Avid Video Engineの改善
ビデオエンジンのパフォーマンスと安定性が向上しました。
- クロックの確立と維持の方法が改良され、接続の安定性とエラー耐性が向上しました。
- 低速なストレージデバイスからのメディアアクセス時の堅牢性が改善されました。
- 停止、再配置、再生などの状態間の迅速な切り替え時の応答性が大幅に向上しました。
- 互換性:macOS Tahoeがサポートされました。
- UIのカスタマイズ:ダークモードのサポートやMIDIワークフローの最適化も行われました。
Avid Video Engineの改善は、引き続き期待します。素早い再生停止を連続で行うとエラーが出るのはかなり負荷があるので承知なのが、改善して頂けるのはありがたいです。
5. Inner Circle Rewards(無料プラグインとサウンド)
年間サブスクリプションユーザーおよび永続ライセンスでアップグレードプランが有効な顧客向けに、新しいInner Circle特典が提供されます。
- Acon Digital Verberate 2:色付けのない透明なリバーブ。
- Acon Digital DeBleed:Snare:AIを活用した、スネアドラム録音の不要なマイクかぶりを除去するツール。
- Nightfox Audio Rendition Lite:MIDIコードおよびアルペジエータープラグイン。
- Native Instruments Kontakt Leap Expansions:Kontakt Playerで使用可能な3つの新しいサウンド拡張パック(Pummeled Piano、Eventide Drums、Isorhythm)が提供されます。
入手方法
Pro Tools 2025.10は、有効なサブスクリプションまたは現在アップグレード・プラン加入中の永続ライセンスを持つすべてのPro Toolsユーザー、およびPro Tools Introユーザーが利用可能です。アップデートはAvid Linkアプリ、またはAvidアカウント経由でダウンロードできます。
以上が一部の新機能のご紹介でした。他にも色々な機能が追加されておりますので、その他の詳細はAVIDオフィシャルサイトをご確認ください。
関連リンク:AVIDオフィシャルサイト
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