- STUDIO
- 2022.12.07
新人レコーディングエンジニアの業務レポート~マイクチェックについて
以前、転換について書かせていただきましたが、今回は私が普段行っている、マイクチェックについてご紹介していきます。
関連リンク:新人レコーディングエンジニアの業務レポート~転換について
事前準備におけるマイクチェック
MIT STUDIOでは、準備を終えた状態でお客様をお迎えできるよう、持込みの機材が無くても、出来ることをプログラム開始の1時間前までに、全て終わらせておきます。例えばスタジオの清掃、SSL(Solid State Logic)で使用するチャンネルのキャリブレーション、マイクなど機材の用意、そしてチェックです。
マイクチェックをする主な理由は、「間違った場所に繋げていないか」、「マイクやケーブルを含めその日使う全ての機材に不具合がないか」など、お客様がいらっしゃってから、トラブルが起きないよう、あらかじめ確認しておくことです。
マイクを『ガリ』る
マイクチェックをする際、アシスタントエンジニアのアシスタントとして行うことは、ブースに入ってマイクを『ガリ』することです。「ガリ」るとは、マイクのダイヤフラム(振動板)がある面の網目を、ガリガリと爪で引っ掻き確認することです。
やり方は人にもよりますが、私はマイクをガリっている間、下記を同時に言葉で伝えています。
- 何を録るマイクか
- 何という名前で呼ばれているマイクか
- 指向性は何になっているか
- フィルターの有無(入っている場合はその数値)
こちらは以前、チェロをレコーディングした際にチェックをしたマイクです。
「チェロ オンマイク、149です。指向性は無指向、フィルターなしです。」次のマイクに移行するまで、ガリをしながらこの言葉を延々と繰り返し続けました。
理由
- チェックしているマイクの認識が、食い違わないようにするため
- 指向性やフィルターの有無など、マイクの設定が間違っていないか、変更がないか確認のため
実際、チェック途中で変更の指示がくることもありました。またエンジニアさんが持ち込んだマイクを、演奏者の方が楽器の準備や練習をするブースの中でチェックする場合も多くあります。ガリをする側はブース内のスピーカーで指示を聞いており、そういった時などは特に意思疎通が難しいため、食い違いのないようガリをしながらチェックしているマイクの情報を伝えています。
セッティング後、既にスタンドを高くして立ててしまったマイクのチェックがしたい場合は、スタンドのなるべくマイクに近い箇所を爪で軽く叩きます。写真のようにステレオバーを使用して一本のスタンドで立てているマイクは、マイクが向いている方向に立って手を叩いたり、手を叩きながら両方のマイクの間を移動したりなどの方法をとることもあります。これはLRの回線があっているかや、レベル差の確認のためでもあります。
リズムなど沢山のマイクや機材を使用する際、回線はあっているのに、接触が原因で音が来ないなんて事も少なくありません。避けられない機材のトラブルを仕事前に確認・解決し、プログラムが始まってからはスムーズにレコーディングが行えるよう、ひとつひとつ丁寧に確認しています。最後まで読んでいただきありがとうございました!ぜひMIT STUDIOまでお問合せお待ちしております。
著者:音楽エンジニア