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  • 2022.08.02

新人レコーディングエンジニアの業務レポート~転換について

はじめまして!入社から4ヶ月が経ち、大きなスタジオで丸1日現場に入ることにも少しずつ慣れてきました。些細なことから、段々と出来ることを増やしていき、最近では一人で転換を任せられる機会もありました。今回は、私が経験したスリーリズムからStringsへの転換についてお伝えします。

レコーディングスタジオで使う「転換」とは

1日の中で、これまで録っていた楽器と全く別の楽器を収録するため、セッティングを切り替えることを『転換』といいます。例えばスリーリズムを収録したすぐ後に、StringsやBrassなど別の演奏者さんが来られます。演奏者さんにも予定があるため、我々の準備などの都合で予定の時間より押してしまうなんてことは許されません。それなのでブース内をなるべく短時間でバラし、予定開始時刻に間に合うよう次のセッティングをする必要があります。

転換のための時間は大抵そう長く設けられておらず、前の収録が押した場合には涼しいブース内で汗をかくほどの大急ぎになります。何を1番にするべきか、どうすれば効率が良いか、行動の優先順位を考えなければいけません。

転換の流れ

スリーリズムからStringsへの転換の流れ

まずはドラムの方がバラしやすいよう、至るところに差し込んだマイクを邪魔にならない所にハケます。マイクに繋がったケーブルを引っ張らないようにフォローしながら、ブースの端に固めます。ドラムの方がバラしている間に、そのまま端に寄せたマイクをバラしていきます。

マイクからケーブルを外す前に必ずしなければいけないのは、ファンタム電源やサプライが落ちているかの確認です。落とした直後はまだ電流が通っているため、コンデンサーマイクやチューブマイクは後に回して、ダイナミックマイクから先にケーブルを外していきました。

全てのマイクを片し終わった頃、ドラムの搬出が行われ始めました。バラしている途中のスタンドやケーブルを一旦放置し、早く演奏者さんが入ってこられるよう椅子と譜面台を用意します。これはマイクを立てる位置を定めるためでもあります。

マイクを予定されていた場所に立てると、レコーディングエンジニアさんがマイクを当て始めます。邪魔にならない程度にケーブルフォローをしながら、隙を見てアシスタントエンジニアにマイクポケットの番号を伝え、演者さんのCueBoxや譜面台に鉛筆などを用意していきました。

写真のように高く上げたマイクのケーブルは揺れないようスタンドにテープで固定し、トークバックマイクを用意してレコーディングの準備完了です。時間があれば端に固めたスタンドやケーブルもバラしますが、時間がなければ一時的に放置し、マイクチェックに移ります。転換において1番に優先されるのは、時間に遅れのないスムーズなレコーディングです。そうして無事転換を終え、レコーディングが始まります。

時間に余裕のない転換の時は一度も気が抜けません。やるべきタスクが多くあり、それらを消化しながら更なる要望に答えていく必要があります。常に周囲に目を配り、今なにをするべきか考え続け、自分の判断で最良を選択して動かなければいけません。ですが無事にレコーディングが始まり、アシスタントエンジニアの後ろで素晴らしい演奏や作品が完成されていく様を見届けた際には大きな達成感を感じられます。

この達成感を糧に出来ることの幅を増やし、より快適なレコーディングのお手伝いが出来ればと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!ぜひMIT STUDIOまでお問合せ、お待ちしております。

著者:音楽エンジニア

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