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  • 2022.07.07

グループなど多人数での『ヴォーカルレコーディング』準備について

今回はグループなど多人数でのヴォーカルレコーディングの際に、MIT STUDIOでは、どのような準備をしているかをご紹介します。過去にもヴォーカルレコーディングの準備についての記事はありましたが、多人数でのレコーディング時に追加で準備する事については、ご説明していなかったので、今回はその一例をご紹介いたします。

関連リンク:新人レコーディングエンジニアの業務レポート~ボーカルレコーディングのセッティング

ソロと多人数の曲の違い

ソロの曲と比べ、多人数で歌っている曲では『歌割り』が存在します。当たり前ですがこれは一番大きな違いかもしれませんね。録音する箇所が飛び飛びになることも珍しくない為、入念に準備をしておく必要があると感じています。あらかじめ歌割りが決まっていない場合もありますが、今回は決まっている前提で準備する事をご紹介します。

歌詞について

いつもであれば歌詞に小節番号を書く「カウンター譜」を作成するのですが、今回はそこに追加で歌唱を担当する部分にマーカーを引いておきます。これは自分が使用する歌詞だけでなくヴォーカリストが使用するもの、ディレクターが使用するものにも同じくマーカーを引いて準備する事が多いです。どこを歌うのかが一目瞭然なので、現場にいる全員が歌詞を見て迷う事が少なくなり、より円滑に収録を進める事ができます(余談ですが、グループの方が来る際に、歌う方のイメージカラー別などでマーカーをしておくと、さらに分かりやすくなり喜ばれる事が多かったです!)。

仮歌のトラックについて

普段のヴォーカルレコーディングでは仮歌は2Mixに混ぜて出さず、CueBoxに単独で送っています。しかし歌割りがあるときは、下記のような分け方をする事があります。

  • 歌唱担当部分→CueBoxの単独に送る
  • それ以外→2Mixに混ぜて出す

作り方は至ってシンプルです。

  1. 仮歌のトラックを複製し各役割ごとにアウトプットを設定
  2. CueBoxへ送るトラックは歌わない部分をクリップでミュート、2Mixに混ぜるトラックは歌う部分をクリップでミュート
トラックを複製、名前とアウトプットを変更
Aさん用の準備
Bさん用の準備

説明:今回はCueBoxへ送るものを「Kari Vo」、2Mixに混ぜるものを「Other Vo」と名前を付けています。

この作業をしておく事で、コントロールルーム側のディレクターさんも、歌っていないところは仮歌が聞こえるので、前後の繋がりが分かりやすくなるので、より細かなディレクションがしやすくなったりします。またオペレートする側も、歌詞だけでなくProToolsの画面でも、どこを録音するのかが分かりやすくなるのでよりスムーズな進行ができてきます。

収録後のトラック分け

1日に複数人のヴォーカルレコーディングする際、すでに最初のヴォーカルレコーディングが済んでいると、このような場面があります。

「前の方が歌ったものと合わせながらレコーディングしたい!」

収録する際は基本的に1つのトラックで問題ないのですが、次の方が歌う際にこのままの状態だとソロ歌唱の部分と全員歌唱の部分で毎度トラックをミュートしたりボリュームを調整したりと作業量が増えてしまうのであらかじめトラックを分けたりします。

Aさん、Bさんをトラック分けし、Cさん用の準備

基本的にソロ部分と全員を分けてあれば問題ないのですが場合によってはもっと細かく分けたりもします。あらかじめ準備しておく事で収録中に慌ただしく操作する必要がなくなるので誤操作するリスクも減らしつつ快適に収録を進める事ができます。

いかがだったでしょうか?今回は複数人のヴォーカリストがレコーディングする場合の、パターンを紹介させていただきましたが、MIT STUDIOではどの収録作業においても「現場にいる方がストレスなくスムーズに進行できるような準備」を心がけています。最後まで読んでいただきありがとうございました!気になる事などありましたら、是非お気軽にご連絡ください。お問合せお待ちしております。

著者:小島 悠輔(音楽エンジニア)

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