- STUDIO
- 2019.11.22
MIT STUDIOのエディターについて~ナレーションなどの音声ファイルのブラッシュアップに特化
プロユースのレコーディングスタジオであるMIT STUDIOでは「エディター(EDITOR)」と呼ばれるポジションが存在しています。私もその一員ですが、皆様は「エディター」といえばどのようなものを思い浮かべるでしょうか?
MIT STUDIOにおけるエディターは音声ファイルの編集者
一般的にエディターといえば雑誌や書籍などの編集者、もしくはテキストエディターなどの文字データ用のアプリケーションを思い浮かべる方が多いかと思います。しかしMIT STUDIOにおける「エディター」はそのような意味ではございません。
過去記事でも少し触れていますが、エディターはeラーニングなどのナレーションや、ゲーム音声のレコーディングなどで発生したリップノイズや衣擦れ、クリック音といった、その音声ファイルに不必要なノイズを取り除き、より聞き取りやすくなるようブラッシュアップするという作業を担っています。
関連記事:エディターが使用するProToolsの便利機能やノイズ処理について
ほとんどのレコーディングスタジオでは、エンジニアの仕事の一つとして音のブラッシュアップ作業をしているかと思いますが、MIT STUDIOではブラッシュアップ作業を収録エンジニアとエディターを分担させることによって、お客様へよりクオリティが高いものを納品できるよう体制を整えております。
もちろん単にノイズを除去ということだけではなく、お客様のご要望次第では
- 「ノイズではないものの息継ぎ部分をカットする」
- 「このセリフは他キャラクターと合わせのため尺を変えない」
というようなことにも対応しています。
エディターの作業例
エディターは収録後のファイルを受け取り編集作業を行います。また編集後に、ファイル名とそのセリフが一致しているか、または取り残したノイズはないかというチェック作業を行った後にお客様へ納品しています。
それではどのようなファイルを編集しているか、一部作業例をお見せします。
「あなたの勇気に、愛に、そして最高の技術が起こした奇跡に。世界がみんな、涙した」
というセリフのEDIT前とEDIT後になります。
このファイルのEDITの前後をスペクトラム画像で比べると以下のようになります。
EDIT前
EDIT後
スペクトラム画像とは音声を周波数の強さで画像に変換したもので、音量が大きいものほど明るいオレンジ色で表示され、逆に小さいところは黒や紺などで表示されています。スペクトラム画像は視覚的にもノイズなどの位置がわかりやすく特定の位置もピンポイントで処理ができます。
編集前のデータですと、リップノイズがとても目立っていたので、そこを中心に聞き取りやすいように編集いたしました。音声データを編集する上で、リップノイズ以外にも衣擦れの音や喉のなった音などが乗ってしまっていることが多々あります。こういった音声以外の音を軽減しております。
このように、音声ファイルのノイズなどを取り去り、聞きやすい状態にブラッシュアップしている私たちエディターのご紹介でした。
MIT STUDIOで収録したもの以外も対応可能ですので、他スタジオで収録されたデータのブラッシュアップでも、気軽にお問い合わせ下さい。
著者:MIT STUDIO(エディター)