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  • 2022.03.16

どんな作品にも対応できる広い帯域が魅力のプリアンプ~ADgear社『KZ912』

日々様々な用途に使われる音を収録するMAスタジオでは、特徴的で個性が強い音作りができるものより、「フラットでどんな作品にでも対応できる音」が求められる事があります。MIT STUDIO第3スタジオ、第5スタジオのメインマイクアンプが『KZ912』。この機材はそんな役割をきっちりこなしてくれています。

KZ912

スペックと特徴

ADgear社製(現アイコニック)OverQualityシリーズのディスクリートオペアンプとDCサーボ回路を搭載して段間コンデンサーや出力コンデンサーなどを排除しています。最大出力は+33dBu/10Ω、+31dBu/600Ω以上と高出力です。ディスクリートといえばAPIの2520などが有名ですが、こちらは+24dBですので少し大きめですね。

一番の特徴はリモートコントロールユニットを使用する事でKZ912本体をマイクの近くに配置しつつ、コントロールルーム側で操作できる事です。これによってマイクからマイクアンプまでのローレベル信号を長く引きまわす事がなくなり、音質劣化や様々なトラブルを少なくしています。MIT STUDIOではブース内に設置して運用していますが、マイクからKZ912までの距離は1〜2mほどです。コントロールルーム内までケーブルを引き回すとなると10m以上必要になるでしょう。ゲインステップは6dBごとで-3dBスイッチと組み合わせことできます。切替素子はリレー方式で半導体スイッチなどのような歪はありません。

関連リンク:ADgear社KZ-912 REMOTE MIC AMP

実際の運用例

使用するときは18dB〜42dBの範囲で使うことが多いです。幅がかなりありますが、使用するMicとcompressorの設定、収録する内容によってゲインはかなり変わります。例えば、ナレーションなど一定の音量で収録する場合はNEUMANN U87Aiを使って30dB前後。アクションゲームなど声を張る台詞が多い場合はNEUMANN U87iを使って18dB〜24dB程度。逆に囁くような声を収録するときは42dBまで上げることもあります。

ゲーム音声収録は同じキャラクターでも様々なシュチュエーションの声を収録するのでゲインの振れ幅が大きいですね。状況に応じてゲインコントロールしながら収録することになるので、音声に被らないようタイミングを見極めてスイッチングしています。声量の上下が激しい狂気をはらんだキャラクターなどは、台詞途中でゲインステップを動かせないので天敵(!?)かもしれません。

KZ912以外のマイクプリアンプ

MIT STUDIOではKZ912以外にもプリアンプが取り揃えてありますので、収録に利用したい機材や、気になる機材がございましたらスタジオご予約時にご相談・ご用命ください。王道のNEVEをはじめ、AMEK 9098EQやSSL XLogicなど、詳しくはホームページ記載の機材リストをご覧ください。

関連リンク:第3スタジオ機材リスト / 第5スタジオ機材リスト

著者:齊藤隆宏(MAエンジニア)

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