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  • 2021.08.03

オーディション収録用機材セッティング~ヴォーカル編

以前、ご紹介いたしましたが、今回もMIT STUDIOで実際に収録した、オーディションの機材セッティングについてお話いたします。オーディションの内容は、指定されたキャラ設定にそったお芝居をした『ナレーション資料』と『歌唱資料』になります。この収録音源がオーディション資料となり、配役が決まる資料の一つなのでとても重要な収録です。

関連リンク:オーディション収録用機材セッティング~ナレーション編

Vocal収録の機材セッティング

今回はVocal収録について説明していきます。ナレーションの時と作業する方向性は同じで「思ってたのと違う」とならないようにしています。ただ、オーディション用のVocalは歌と一緒にカラオケがバックに流れているので、カラオケに負けないように、そして馴染むように調整していきます。時にはカラオケの方を微調整する場合もあります。それではセッティングを紹介していきたいと思います。

ナレーション収録用機材リスト

  • Neumann 87Ai
  • AMEK9098
  • Urei 1176
  • ProTools Input

立ちか座りかの収録方法は演者さんにお任せしていますが、実際にライブなどでパフォーマンスをする時に立っていることが多いので、立ちで用意しておくことが多いです。

マイクはナレーション同様「Neumann 87Ai」です。本来Vocal収録はマイクやHAなどの機材を楽曲に合うように細かく試して選ぶのですが、今回のオーディションの場合は複数の様々なジャンルの楽曲を短い時間で収録する必要があったため、プロユーススタジオのスタンダードである「Neumann 87Ai」で収録し、楽曲によって質感の微調整が必要であれば後処理で行いました。

マイクプリアンプは「AMEK9098EQ」です。ナレーション収録では色付けを避けるためにフィルターしか使いませんでしたが、Vocal収録では楽曲に合わせて積極的に使っていきます。今回はエアリーな部分(キラッとした空気感)を含む10kから上あたりをシェルビング(その周波数以上、または以下全体)で上げたりしています。

また、± 6dbのTrim(つまみ)が活躍します。楽曲内で声量の一番大きいところに合わせてHA(ヘッドアンプ)やコンプレッサーの基準値を決めるのですが、ダイナミクスの落差が激しい楽曲や、場所により息っぽい歌のニュアンスがある時などにTrimで追いかけることができます。フェーダーを使わないのはナレーションに比べて激しく追う必要がないからです。ナレーションではフェーダーを10db以上動かすこともたくさんあります。

コンプレッサーは「Urei 1176」を使っています。こちらもプロユーススタジオでは定番の機材です。ナレーションでは気になったところがVocal収録では良い方向に作用します。リダクションの感じやハードにかけた時の「コンプかかった感」も楽曲にのせると派手さなどの音楽的な聴こえに繋がります。「Urei 1176」のリビジョンも使い分けることがあります。今回はナレーション収録時の声の質感と楽曲の方向性でリビジョンHを選択しました。

いかがだったでしょうか。今回はオーディション収録でのVocalのセッティングに触れました。このようにMIT STUDIOでは内容に合わせた収録を行っております。ぜひお気軽にご相談・お問合せお待ちしております。

著者:加藤 智明(音楽エンジニア)

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