- STUDIO
- 2021.09.08
アーティストのレコーディングに参加~アコースティック楽曲のマイクセッティングについて
皆様いかがお過ごしでしょうか?以前、参加させていただいた楽曲レコーディングに続き、今回も楽曲レコーディングについてお話しさせていただきます。
関連リンク:アーティストのレコーディングに参加~収録『リズム録り』について
アコースティックギターとピアノの同時収録
今回参加させていただいたレコーディングは、アコースティックギターの弾き語りとピアノを同時に録音する案件で、他の楽器が入らない、いわゆるアコースティックな楽曲でした。音の数が少ない楽曲は、一つ一つの音がよく聞こえて、臨場感が凄い反面、音の良し悪しに誤魔化しが効きませんので、慎重な作業が必要です。
アコースティックギターと歌が楽曲の主役ということもあり、音像が大きく、周波数レンジも広く録音できるマイク『SONYのC-800G』をチョイスしました。
クリックを使わないレコーディング
一般的にレコーディングをする際、ミュージシャンや歌い手が曲のリズムをとるために『クリック』という、曲のテンポを刻んだ音を、楽曲と一緒に聴きながらレコーディングすることが多いのですが、今回の楽曲は、同時に録音する音以外に音が入らないため、クリックを使わずに、プレイヤー同士のリズム感でレコーディングすることになりました。このようなレコーディングは、より一層臨場感が生まれます。その反面、レコーディング特有の『間違ったところを録音し直す(パンチイン)』という作業がやりづらくなったりするので、緊張感も倍増します。
サウンドチェックでマイクを交換
諸々のセッティングが終わり、サウンドチェックで音をもらいます。ピアノを先に音を決めて、アコースティックギターと歌のサウンドチェックをしたのですが、やはり弾き語りだったため、それぞれのマイクへの音の被りがひどく、お互い干渉しあう感じになってしまいました。
そこでセッティングを変更して、アコースティックギターのマイクを、『SCHOEPSのCMC54u』に、歌のマイクを『NEUMANNのU-67』にしました。
CMC54uはペンシルタイプのコンデンサーマイクで、狙い通り被りも少なくなり、理想の音に近づきました。U-67は普段使用している感じだと、正直、C-800Gと比べると、曲の中で音像が小さくなる印象があるので心配でした。サウンドチェックでの印象はいつも通りだったのですが、今回の曲はアコースティックなので、これでいきます。
サウンドチェックも終わり、リハーサルも兼ねて一度通しで録音してみました。個人的な感想ですが、ミュージシャンの方々のプレイも相まって、狙い通り臨場感バッチリのサウンドを表現することができました!歌もU-67にすることで、結果的に、より芯のあるサウンドを表現することができました。
マイクの特性だけでなく、曲との相性などでもサウンドメイクができるよう、引き続き精進して参ります。最後までご覧いただきありがとうございました。
著者:MIT STUDIO(音楽エンジニア)