- STUDIO
- 2021.05.11
アーティストのレコーディングに参加~3リズムの録音の流れやセッティングの修正について
今回は、某アーティストのレコーディングについて語っていこうと思います。前回は「セッティングリスト」というものについてお話しました。
関連リンク:アーティストのレコーディングに参加~事前準備『セッティングリスト』について
リズム録りの準備・テスト・サウンドチェック
今回の録音は3リズム(ドラム、ベース、ギター)でした。3リズムの場合、集合時間に集まってミュージシャンの方々に、楽器のセッティングやチューニングをしてもらい、セッティングができたらそれぞれの楽器に、レコーディングエンジニアがマイクを立てます。その後、楽器ごとに音をもらい、レコーディングエンジニアが録る音量や音質などを調整していきます(これをサウンドチェックといいます)。全部の楽器のサウンドチェックが終わったら、ミュージシャン全員で実際の曲に合わせてテストで演奏してもらい、テスト演奏を録音します。
一度テストが終わったら、みんなでそれを聴いて、楽器ごとの音の方向性やプレイなどについて話し合い、そこから随時テイクをレコーディングしていきます。ミュージシャンやレコーディングエンジニアは、作家さんの作ったデモ音源から、楽曲の方向性をある程度読み取り、録り音やプレイを決めていきます。さて、サウンドチェックも終わり、いよいよテストで演奏してもらうタイミングになりました。
より良い音を目指しドラムの周りのセッティングを変更
レコーディングエンジニアは、このテストで曲全体のミックスバランスをざっくり整えていきます。ここで、どう聴かせるかがレコーディングエンジニアの腕の見せ所です!私の心臓はバクバクです…(笑)。テストが終わり、一度ミュージシャンもコントロールルームに戻ってきてみんなで聴きます。
アレンジャーの反応はこうでした。「うーん…。」微妙!!やばい!(笑)。ミュージシャンの時間に限りがあったため、結構焦りました…。どうやら、全体をもっと面で聴かせたかったようです。全員でどのようにしたら良くなるかを考えます。具体的にドラムの音像をもっと広くしたいということで、ドラマーさんが「スネアを替えてみよう」と案をすぐに出してくださいました。すごく助かります。
私はドラムのバランスの取り方を、それぞれのオンマイク主体からオフマイク主体(今回のセッティングだと、トップ、ルーム、アンビエントなど)に変えて、アンビエントのマイクを、少しドラムに近づけてみました。割と大幅な変更があったので、もう一度テストで演奏してもらいます。演奏が終わり、みんなで再度聴きます。セッティング変更後、テスト演奏のアレンジャーの反応は「よし!良くなった!」。ホッとしました。
音の方向性に合わせてアコースティックギターのマイクも変更
音が決まってしまえばあとは、プロのスタジオミュージシャンの方々なのでサクサク進行していきます。今回はドラム、ベースは1テイクでOKが出てしまいました。凄いです。エレキギターは、音を変えて重ねたりするので、居残りで続きを録りますが、こちらもサクサク録り終わります。
残すはアコースティックギターのみです。先ほどの音の方向性を考えて、マイクを『SHUREのSM57』に替えました。コンデンサーマイクの方が感度など良い点が多いのですが、曲の雰囲気にあった音になるかは別問題です。こちらもバッチリハマって、レコーディングもすぐに終了!お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?今回は緊張の現場でしたが、学べるところもたくさんあり、曲を作った方々がどのような方向性にしたいか汲み取る技術を、もっと磨いていかないとなと思いました。引き続き、精進してまいります!!
著者:MIT STUDIO(音楽エンジニア)