- STUDIO
- 2020.07.28
音響効果の音加工について~映像に付ける音はシチュエーションが重要
今回は、音響効果における音の加工についてご紹介したいと思います。
音というのは、発生源があり、空気が振動し、様々な反射や減衰を経て私たちの耳に到達します。平たく言うと、近くで聞こえる音と、遠くで聞こえる音は違うという事です。また、距離感だけではなく、外で聞こえる音と、体育館のような屋内で聞こえる音は違います。これらの知識はなくとも、自らの体験で皆さんも自然に感じています。
音響効果で重要な要素の一つとして『音を馴染ませる』という事があります。特に映像に付ける音は『シチュエーションがとても重要』になってきます。効果音だけでなく、実は音楽も多少加工することもあり、テレビやドラマ、映画等で耳にしている事も多いです。
効果音の音加工例
説明だけではピンと来ないかと思いますので、いくつかの加工例を作成しました。是非元の音と比較して聞いてみて下さい。まずは足音の加工の例をお聞き下さい。
【元音】
【パターン1】
元音を聞いて頂ければ分かるように、元音はかなり近く聞こえますので、足のアップや足音に印象を付けたい場合を除き、大体このような加工をします。今は背景音を付けていませんが、背景音があればだいぶ馴染みます。
【パターン2】
室内や洞窟等の密閉空間は、リバーブ(反響)を足す事が多いです。広ければ広いほどリバーブタイムを長くします。余談ですが、音は固い壁でよく跳ね返り、柔らかい壁はよく吸収(減衰)します。
引っ越し等で、何も無い部屋ではよく声が響き、荷物が増えるにつれ響かなくなった経験はございませんか?荷物が増えると反射する箇所も増え音を吸収する柔らかい物も増えるため、反響しにくくなるんですね。
【パターン3】
これは、壁を隔てた向こう側から聞こえているように感じませんか?簡単に言うと、音の成分の中でも高音はこちらの耳に届くまでに消えてしまい、低音だけが残っている状態になります。
続いて、曲でも同じような加工をする事がありますので、ご紹介致します。
音楽の音加工例
【元音】
【パターン1】
こちらは店内BGMにも使えそうな加工です。どのような店かなど、どのような環境かによって、加工方法はそれぞれ変わりますが、基本的に音の周波数帯域を狭めて音質を悪くします。考え方は先ほどご紹介した足音とほぼ同じです。
【パターン2】
これは通りすがりの車でなってそうな音ですね。色々な理論はありますが、一番大事なのは自分の経験をいかに想像できるかです。
最後に、EQ(イコライザー)とリバーブを使って、車が通り過ぎる音をもう少しリアルに作ってみましたので、お聞き下さい(環境音や他の効果音も足しています)。
いかがでしたでしょうか。MIT STUDIOではこのような音響効果の仕事も受け付けております。我々もこの奥深さに日々精進しながら仕事を楽しませていただいています。今後も何か面白い事を皆さんと共有できれば幸いです。
興味のある方は、是非お問い合わせ下さい。
著者:MIT STUDIO(エディター)