- MIT CREATIVE
- 2020.04.24
実写映像に付ける効果音~音の差し替えや演出方法について
皆さまがご覧になるテレビや映画、そしてドラマ等には数え切れないほどの効果音が使われています。今回はMIT STUDIOが請け負う音響効果の業務の一例をご紹介します。
多くの作品はほぼ全ての音を差し替えます
映像を使った制作物の音響効果の現場では、ほとんどの場合、収録・編集済みの映像に音を付けます。現場の音に付けたい、足したい効果音だけ付ければいいんでしょ?と思う方もいらっしゃると思いますが、そうではありません。映像収録では映像が第一なので、音まで綺麗に収録されることはあまり無いのです。
収録中には、鳥の声・人の足音・車の音・工事現場の音等、その作品には全く関係のない(いらない)音が多く含まれています。もちろん作品や状況によってはそのままの音を使うこともありますが、多くの作品は、ほぼ全ての音を差し替える作業をします。
ひとまずご説明をさせて頂きましたが、映像の一例をご覧ください。
さてこちらの動画ですが、さきほどご説明したように、音は全てライブラリから付け直しました。作品によって効果音のつけ方も違うのですが、音響効果においてはインスピレーションがとても大切です。
映像の外の音や作品の背景まで想像して効果音を選択
今回の一例は作品ではありませんので、見た目だけの音響効果になってしまいましたが、通常は映像の見た目だけではなく、映像の外の音や作品の背景まで想像して効果音を選びます。
一例の映像をご覧いただいた方は、どのような音を想像されたでしょうか?
まずは雨が降っていますね。それと車やバイクが走っています。映像自体、少し地面に近いこともあり、雨の音は地面に当たる音が多少目立つように選びました。
道路がメインの映像になっていますので、イメージ付けに頭にクラクションを不自然に大きくならないぐらいに入れました。ベースの交通音の他に、車やバイクにはそれぞれ一つづつ音を付け、音量に差をつけ距離感を出しました。最後の大きめの車のタイヤには水しぶきの音を足し迫力を出しました。
ここまでが、基本的に見た目だけで付けることができる音です。
ここからはインスピレーションの世界になりますので、私の想像が全て当てはまるとは限りませんが、道路にはネオン街のようなものが写っていますね。このことから、都会であること想像できますので、ほんの少し、人々の存在感を匂わせる音や店内BGMが漏れる音を付けてみました。
BGMが漏れる音は、EQ(イコライザー)で音域を狭めてモノラルにするとそれっぽくなります。映像の後ろや横、そして奥の出来事を想像し音を付けることで、よりリアルに映像を表現できます。一つのシーンでも細かく音を分け、調節をしていく事がとても重要です。
このように、一つ一つの作品には皆さんが気づかないような音の仕掛けが多くあり、どうにか心を掴もうと奮闘しております。また、我々も作品作りを非常に楽しみながら作業させて頂いております。今回は少しでしたが、音響効果の作業内容の一つをご紹介しました。
何か作品作りでお困りの事がありましたら、お気軽にご相談下さい。
著者:MIT STUDIO(エディター)