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  • MIT Artists
  • 2025.11.10

実践型アフレコワークショップを開催~収録スタジオが提案する「現場で通用する声優育成」

酷暑にも終わりが見え、やっと街は秋めいて・・・と、続けたいところでしたが、瞬きする間に次の冬が存在感を発揮し始め、慌てて分厚めニットを引っ張り出しました。それこそちょうど酷暑が終わった頃にはなりますが、弊社 STUDIO A(アフレコスタジオ)を利用して、アフレコWS(ワークショップ)を開催しました。

アフレコブース(STUDIO A)

スタジオ移転が決まり「アフレコスタジオができる」と決まってから、ずっと思い描いていた企画が、お世話になっている音響監督さんから持ち掛けていただいたこともあり、2社合同でやっと実現できました。

コメディー外画を題材にしたワークショップの流れ

セッティング・指導~マイク数をあえて減らしマイクワークを学ぶ

今回のWS題材は「コメディー外画」。参加者は15名程度でした。参加者を2チームに分け、10分程のシーンを演じます。1グループに対し、マイクは3本でセッティングしました。STUDIO Aでは、最大マイク4本までセッティングできるのですが、今回はマイクワークに慣れることも大きな開催意義だったため、あえてマイクを減らし、マイクワークが行われるようなシチュエーションにしました。

今回のWSは、通常アフレコ同様の「テスト→音響監督からのフィードバック→本番」の流れで行います。まずはテストから。外画のコメディーはテンポが命のため、話者とシーンが次々に変わります。そのため、マイクワークがうまくできず、台詞に入るタイミングを逃したり、マイク前から抜けるタイミングが遅れて後ろに控えている人に影響が出てしまったり・・・と、苦戦している姿が見受けられました。

フィードバックも全体には演技の事より、先にマイクワークの指摘が入り、声優経験のある弊社音響監督から、改めてマイク前の立ち方と動線の指導がありました。その後、初対面のメンバーが多いにも関わらず、声を掛け合って、マイクワークの動線を確認していた様子が印象的でした。

本番収録~演技のバランスをとるためにもキャラクターと心情のリンクが重要

そして本番収録。第1グループと第2グループで、配役や兼ね役を変更していたので、全員が当てはまるわけでは無いのですが、基本的には各々得意分野のキャラクターで戦っていましたが、今回は「外画コメディー」。日本の作品ではあまり見ないハイテンション感に合わせて、声を当てなければなりません。そしてコメディーのため、観ている人を笑わせないといけない。

こうなりますと、各々が自分の武器で戦っているだけではテンポ感等が合っていかず、全体的にバラツキがある印象になり、クールなツッコミキャラが一人だけ浮いて見えたり、逆にハイテンションが合うキャラが、一人ピエロになりすぎているように見えたりと、いう点が気になり始めました。

これを解消するには、相手の演技を聞いてそれを受けて演技をすることが求められます。文章にすると何を当たり前のことを、、。と感じますが、私はマネージャーになってからこの難しさを痛感しました。事前に本読みをし練習を頭でっかちにしてしまうと、その時の演技に引っ張られてしまいあくまで会話のシーンでも相手の演技を受けることが出来ずに、チグハグな印象になってしまいます。

大事なのは「台本をどう読むかではなく、そのキャラクターになること」。そのキャラクターと心情がリンクしていれば、相手の演技を受けて感じたままを自分が返しても、そのキャラクターとして自然になるのではないかと感じました。

マネージャーとして若手声優が「本番で戦える力」を養うための環境づくりをサポート

今回のWSを振り返って、毎度感じることですが、マネージャーとしてできることは、私がマネージャーとして働く前に想像していたよりも微々たるもので、端的に言うと「所属者ができるお仕事や羽ばたけるチャンス」をとってきて支える。というニュアンスになるのかなと感じます。つまり現場に1度入ったら、所属者自身が培ってきた実力・経験で戦ってもらうしかないのです。

どれだけヤキモキしようが、マネージャーが代わりに演技をすることはできません。よく実力を発揮しきれなかった理由として緊張がありますが、緊張の要素には、未経験な事への不安の要素が多く含まれていると思います。それが事前にWSなどで経験を与えて解消できるのであれば、マネージャーとしてその助けが出来たら良いと感じました。

今回それが顕著に出たのが、マイクワークで、参加者は全員若手声優のため、「良い演技をしよう!」という前のめりな姿勢により、視野が狭くなっているように感じます。でも現場に出るには冷静に回りを見て即決即判断でマイクワークをこなせなければなりません。マイクの前に無事立てて初めて「演技」というスタートラインに立てるのだな、と感じました。

その上で、「事務所に実際のアフレコスタジオがある」という強みを生かして、今回のように、マイクワークまで実践できるようなWSを開催することが、弊社所属者の大きな糧になるなと感じました。ぜひご相談・お問合せお待ちしております。

著者:結城ひなた(営業・マネージャー)

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