- STUDIO
- 2025.10.08
STUDIO 2に新導入されたラージスピーカー「ATC SCM150A Pro × Custom SubWoofer」のご紹介
音楽制作、映画サウンド、マスタリングにおいて、最も信頼されている英国製スピーカーブランドのひとつ ATC(Acoustic Transducer Company)。数ある音響メーカーの中でも、ATCはハイエンドなスタジオモニターの代表格として知られています。
本日は、そのATCスピーカーが持つ音響設計のこだわりと、今回スタジオに導入された、SCM150A Proの詳細なスペック、さらにCustom SubWoofer「Custom Pro004-15 / Width Model」との組み合わせによる、音響的メリットについてご紹介したいと思います!

ATCスピーカーの特長
ATCは1974年の創業以来、スタジオ用途に特化した高性能モニタースピーカーを設計・製造してきた英国ブランドです。その音づくりの哲学は一貫しており、「原音に忠実であること」を最も重視しています。
特徴1:自社開発のソフトドーム・ミッドレンジドライバー
ATC独自の3インチ・ソフトドームミッドレンジは、驚くほど自然でクリアな中域再生を実現。人間の耳が最も敏感な帯域を、歪みなく再現することで、ボーカルや楽器のニュアンスが手に取るように分かるサウンドを提供します。
特徴2:アクティブ方式による高精度クロスオーバー
ATCのアクティブモニターは、各帯域(高・中・低)に専用のパワーアンプを搭載し、電子的にクロスオーバーを制御。高精度で安定した周波数分離と位相特性を実現しています。
特徴3:プロ現場での圧倒的な信頼性
ATC製品は、世界中のトップスタジオ(Metropolis Studios, AIR Studios, Sterling Soundなど)で採用されており、「色付けのない音質」という最大の特徴に加え、耐久性にも優れ、長時間・高音圧の使用にも安定した性能を維持できる点が、プロフェッショナルからの信頼の証と、商業スタジオに導入して運営していく上でブランドとしての安心感があります。
「ATC SCM150A Pro」の主要スペック
形式:3ウェイ アクティブモニター
構成ユニット:
- ウーファー12インチ(375mm)
- ミッドレンジ3インチ(75mm)ソフトドーム(ATC製)
- ツイーター25mm ソフトドーム
周波数特性:25Hz~22kHz(±2dB)
クロスオーバー周波数:380Hz / 3.5kHz
アンプ出力:
- 低域:200W
- 中域:100W
- 高域:50W(合計350W)
最大音圧レベル:112dB SPL(1m)
入力端子:XLR(バランス)
外形寸法:W690 x H360 x D570 mm
質量:約49kg(1本)

Custom SubWooferとの併用メリット
SCM150A Proは25Hzまで再生可能な低域性能を備えていますが、「聴こえる低域」から「感じる低域」へと踏み込むには、専用のサブウーファーとの併用が効果的です。今回紹介するのは、Custom Pro15 / 150Width Modelという、カスタム設計のプロ仕様サブウーファー。サイズはW498 × D650 × H657.5mmと存在感のある筐体で、新MIT STUDIO仕様に合わせた大出力・低域補完用に最適化されたカスタムにしていただいいます。
主なメリット
1. モニタリングの精度向上
サブウーファーに最も低い帯域(20Hz~40Hz)を任せることで、SCM150A Pro本体が中低域~高域により集中できるようになります。その結果、中域の解像度がさらに向上し、全体のバランスが改善されます。
2. 音響調整の柔軟性
低域は部屋のモード(定在波)に大きく影響されますが、サブウーファーを適切な位置に配置することで、部屋の特性に合わせた調整が可能になります。これにより、低域の過不足やムラを抑えることができます。またフィルターカーブや位相の調整機能が搭載されており、設置環境に合わせた低域の最適化が可能。特に部屋鳴りや定在波の対策にも有効です。
3. 中低域の明瞭度が更にアップ
サブウーファーに極低域を任せることで、SCM150A Proのウーファーは中低域に集中でき、全体のバランスと立ち上がりが改善。ベースラインやキックの芯がより明瞭になります。
本日はSTUDIO 2に新しく導入された、「ATC SCM150A Pro + Custom SubWoofer」の紹介記事を書かせていただきました。ATC SCM150A Proは、単体でも非常に優れた性能を誇りますが、サブウーファーとの併用によって、さらなる音響精度とモニタリングの安定性が得られる仕様となっています!
三田(田町)の頃から、MIT STUDIOを利用して下さっていたお客様だけでなく、新規のお客様とお会いできることも、スタッフ一同楽しみにしております。ご要望があればスタジオの見学や、ラージスピーカーの試聴も承っておりますので、お気軽にご相談・お問合せください。
著者 : 粕川鈴(音楽エンジニア)