TOP > TOPICS(更新記事一覧) > STUDIO > レコーディンススタジオ定番リバーブ「Lexicon 480L」の魅力について
  • STUDIO
  • 2024.09.10

レコーディンススタジオ定番リバーブ「Lexicon 480L」の魅力について

こんにちは、音楽エンジニアの粕川です。今回は商業レコーディングスタジオには、必ずと言って良いほど導入されている、定番のデジタルリバーブ「Lexicon 480L」を、皆様に紹介したいと思います。

スタジオに設置したLexicon 480L

Lexiconの歴史と特徴

Lexiconは1971年に、アメリカのマサチューセッツ工科大学(通称MIT)の教授と、心臓のモニタリング装置を開発していた技術者が立ち上げた「American Data Sciences」を起源とする、音響装置メーカーです。デジタルエフェクト処理のトップメーカーとして、世界中のほぼ全てのスタジオでデジタルオーディオのスタンダードに君臨し、世界の音楽録音の80%の制作に貢献してきました。

AESコンベンションで、商業的に実現可能な最初のデジタルリバーブシステムとみなされた、リバーブラインを発表して以来、45年以上経った今でも、Lexiconは世界中のエンジニア・プロデューサーたちに愛され使われ続けており、1986年にリリースされたこの「Lexicon 480L Digital Effects System」とその象徴的なフェーダードライブリモコンは、今日までスタジオコンソールの中心として認められています。

アナログのリバーブと比較し、より高音質で透明な音質と自然な空間を再現することが可能なことから、アナログリバーブが主流だった時代から、デジタルリバーブ主流の時代へと大きな転換期を迎えるキッカケとなった、正に革新的な機材と言えると思います。

LARC(リモコン)の基本的な操作方法

まず480Lマシンにプログラムをロードして、システムのセットアップを完了させる必要があります。プログラムを選択するには、まずプログラムに保存されているバンクを選択する必要があり、これには2種類の方法があります。

  1. まずPROG→BANKの順にボタンを押します。これによりBANKナンバーが点滅して、プログラムのプレビュー状態となり、そこからBANKボタンを繰り返し押すことで、任意のバンクを選択できます。
  2. 二つ目のやり方はPROG→BANKとボタンを押した後に数字キーを押すことで特定のバンクに直接移動させることが出来ます。

バンクを選択すると、次にプログラムの選択に移行します。こちらもバンク選択時と同様に、PROGボタンを繰り返し押すことで、バンクの中にある任意のプログラムを選ぶことが出来ます。長々と文章にすると分かり辛いですが、「PROG→BANK→1→PROG→1」の順に押せばLargeHallが選択され、「PROG→BANK→4→PROG→3」と押せばSmallPlateが選択できます!こう書くと単純で分かりやすいですね!

LargeHall:PROG→BANK→1→PROG→1

SmallPlate:PROG→BANK→4→PROG→3

Lexicon 480L

MIT STUDIOでの運用方法

480Lは、「Cascade」、「Stereo」、「MonoSplit」、「Single」の、4つのシステム構成から選択することでき、MITSTUDIOでは、MonoSplit構成を使用しています。

MonoSplit構成は、480Lを2つの独立した信号プロセッサとして使用することができます。それぞれ独立したモノラル入力とステレオ出力があり、L入力はマシンAへ、R入力はマシンBに行き、メイン出力はマシンAからステレオ出力を生成し、Aux出力はマシンBからステレオ出力を生成します。

これもなんだか分かりにくいですが、要するに「個別の入力信号に対して2種類のエフェクトが使える」仕様になっています。スタジオではコンソールの、EchoSendsの3番と4番が480LのマシンA、Bへ送られるようパッチしてあります!

仕様図

いかがだったでしょうか。本日は「レコーディングスタジオの定番エフェクター」についてのご紹介ということで、一般的には馴染みのないニッチな内容となってしまいましたが、少しでもレコーディングスタジオに興味を持っていただけたらと思い、ブログに書かせていただきました。

レコーディング関するご要望や、レコーディンススタジオの求人に関することは、お問合せフォームにて承っておりますので、お気軽にご連絡ください!

著者 : 粕川鈴(音楽エンジニア)

TOPICS一覧に戻る

topへ戻る