- STUDIO
- 2024.05.15
レコーディングスタジオ外での収録作業『外録(ガイロク)』~ラベリアマイクのご紹介
以前にご紹介した「ガイロク」の記事では、使用する機材「ガンマイク」を紹介しました。今回はガンマイクと並んでよく使用される『ラベリアマイク(ピンマイク)』を、ご紹介します。
関連リンク:レコーディングスタジオ外での収録作業『外録(ガイロク)』~ガンマイクのご紹介
ラベリアマイクとは
このマイクは、TVなどでよく見られる、胸のあたりに付けている小型のマイクのことです。衣服に取り付けるので、出演者の動きを制限せずに、音を拾うことができます。楽曲レコーディングの際に、楽器(ストリングス、ギター、etc)などにも取り付けることもあります。
ラベリアマイク「UWPシリーズ」
MIT STUDIOでよく使用するのは、SONY「UTX-B40」と、「URX-P40」です。UTX-B40がラベリアマイクで、拾った音声を送る送信機で、URX-P40が受信機になります。このようなワイヤレス送受信機をつかえば、カメラアングルが引き画のときなど、音源までの距離が、遠すぎてガンマイクでは拾えない状況でも活躍します。
ラベリアマイクの付け方・隠し方(仕込みマイク)
マイクが見えていても不自然ではないのであれば、付属のクリップなどで胸辺りに付けます。できれば体の中心線付近につけられると、顔がどちらに向いても口から遠くなりにくいので、安定して声が拾いやすいです。
単一指向性のマイクであれば顔に向けて、無指向性マイクでも、私は向きを気にして付けます(本来、無指向性は向きを気にしなくて良いはずですが、録り音が変わってしまいます)。またクリップにケーブルを一巻きしておくと、ケーブルが動いたり引っ張られたりするノイズを低減できます。
ニュース番組などでは、マイクが見えていても不自然ではないですが、映画・ドラマなどはマイクが見えていてはいけません。この場合は、服などの中に隠して取り付けます。いくらフィクションとはいえ、登場人物がマイク付けながら生活しているはずがないですからね。
よくあるのがガムテープを三角形にして仕込むやり方です。この方法の詳しい解説は、下記動画を含め、色々なところでプロフェッショナルが解説されているので、そちらをご覧ください。
十数年前からある伝統的な仕込み方なのですが、不器用で面倒臭がりな私は、Rycoteの粘着パッドを使う事が多いです。
粘着パッドの付け方
写真のように粘着パッドに、ラベリアマイクを貼り付けて、上から柔らかい薄い布を被せます。さらに粘着パッドを被せて、服のなかで動かないようにしています。
写真ではセーム革を使っていますが、粘着パッドを片側のみにして、Rycote Undercoversで覆ったり、画像はご用意していませんが、RODE製 invisiLavのような、しっかり覆えるものを使ったりなど、その時の衣装に合わせて変えています。仕込む場所は、やはり胸の辺りが良いですが、見えない・目立たないところにつけます。ジャケットや襟先の裏、前立てのボタンの間、襟口、ネクタイの中、生地が薄くてどうしても目立ってしまう場合は、医療用のテープを使って地肌につけたりもします。的確に選択し、装着することにより、風の音や衣擦れの音などが拾いにくくなり、軽減されます。
そして忘れてならないのが送信機です。男性は送信機をポケットや、ベルトにつけて隠せるのですが、女性はポケットもベルトもない洋服の場合もあります。その時はカイロを入れるような、サポーターを腰に巻いてもらい、その中に入れて隠しています(よく見れば何か入っているのがわかりますが、腰をメインに写すシーンなどあまりないため、問題ありません)。
インターネットが普及していない昔だと、この手の技術は先輩か、現場で知り合った他のエンジニアさんに聞くしかなかったのですが、今ではYouTubeなどで様々な方が解説されていますので、是非その収録に合った方法でチャレンジのしてみてください。
MIT STUDIOでは外録も承っておりますので、難しい、よく分からないなどの際には、ぜひお気軽にご相談・お問合せください。
著者:齊藤 隆宏(MAエンジニア)