- MIT CREATIVE
- 2021.03.24
音響効果『環境音』におけるステレオ・モノラルの違い
MIT STUDIOではレコーディングだけではなく、作曲や音響効果のお仕事も承っていることは、過去のブログでもご紹介してきました。今回はその中でも音響効果(主に環境音)でのステレオとモノラルの違いについて詳しくご紹介したいと思います。
このブログに訪れている時点で、ステレオとモノラルの違いぐらい分かる!という方が多いと思われますが、例えば音響効果でのステレオ(環境音)等をまじまじと聞いて、ステレオ感を味わっている方は少ないかと思います。
ステレオの環境音とは?
例えば、机を叩く音や足音等。効果音ではありませんが台詞等。これらもステレオで作りますが、ほとんどの場合定位(音のなる位置)を決めるだけです。一方、ステレオの環境音とは、ステレオで収録できるマイクを使用し録音したものを使用します。モノラルとの違いを言葉で表現するのは難しいですが、「音が広がっている」感覚が得られる音です。
テレビでも音はステレオで鳴ります。テレビの左右のスピーカーの位置が近い事や、テレビ自体の配置等でステレオ感はあまり感じる事はできないかもしれませんが、昨今はスマートフォン等のモバイル機器で視聴する事が多くなり、イヤホンやヘッドホンを付けて映像などを見る方も増え、以前よりはステレオ感を感じる機会が増えてきたのではないでしょうか。これは余談になりますが、昨今スマホの動画撮影でもステレオで録画出来るものが出てきており、時代の変化に驚いています。
さて、それではステレオ感というのはどういうものなのか。実例ご紹介します。モノラルとステレオを聞き比べて下さい。まずは分かりやすい例です。拍手のステレオを無理矢理モノラルにしたものです。
【1】拍手(モノラル)
それでは先ほどの拍手と同じ音源のステレオバージョンです。
【2】拍手(ステレオ)
音が広がって聞こえるのが分かりましたでしょうか。会場の広さ、それぞれの拍手が壁に反射した音等を、ステレオマイクで収録した『自然のステレオ』です。みなさんに耳なじみがあるのは、このステレオの音になります。次は拍手より少し分かりにくですが、街の雑踏音のモノラル・ステレオそれぞれのバージョンをお聞き下さい。
【3】町の雑踏(モノラル)
【4】町の雑踏(ステレオ)
音の広がりが感じられましたでしょうか。このように、ほとんどの作品はステレオで作られています(映画などはより沢山のスピーカーを使ったものが主流です)。映画館にあまり行かれない方や、自宅に5.1chサラウンドシステムが無い方がほとんどだと思いますので、多くの方はこのステレオの作品を楽しまれていると思います。
次に、何かの映像作品を見る時に、ステレオやモノラルだと考える必要は全くなく、作品の内容を存分に味わって頂くのが良いですが、これらのサンプルを聞いていただき、少しでも音響効果に興味を持っていただければ幸いです。
著者:MIT STUDIO(エディター)