TOP > TOPICS(更新記事一覧) > 機材紹介 > プレートリバーブの元祖『EMT140』の使い方と特徴について
  • 機材紹介
  • 2019.12.04

プレートリバーブの元祖『EMT140』の使い方と特徴について

今回は、弊社(エムアイティギャザリング)と、MIT STUDIOの共有機材として2台ご用意している、プレートリバーブの元祖『EMT140』をご紹介いたします。

EMT140とは

EMT140とは、ドイツのEMT社(Elektro Mess Technik社)から1957年に発売された、プレートリバーブです。プレートリバーブとは、金属板を振動させ、その振動を利用して音源に残響音を付加するための機材です。その金属板の大きさは、およそ『縦1メートル×横2メートル』、機材全体としてはおよそ『縦1.4メートル×横2.5メートル×幅0.6メートル』の大きなものになります。

このような大きさのためかなりの場所をとることになり、実際に鉄板を振動させるのため、騒音のない場所に設置する必要があること、さらにメンテナンスにも手間がかかるため、現在では一部のプロユースのレコーディングスタジオ以外でほとんど見かけることはありません。

EMT140の全体 50秒~
鉄板が入っているエンクロージャー(箱)

EMT140の使い方と特徴

スタジオのコントロールルームにリモートのコントローラーが設置してあり、それを使用してダンパー(鉄板の振動を抑える装置)を動かし、響きの長さを調節します。残響時間はおよそ0.8秒~5.5秒の間で調節出来ます。

リバーブタイムのコントローラー

また、残響時間を長くすればするほど低音域が大きく響くようになります。また残響時間を1.5秒以上の長さにするに従い、10kHzより上の周波数の音量が小さくなるという特徴を持っており、音の印象に関しては、「濃い、深い、温かい」等のイメージを抱かれる方が多いです。

周波数特性の図 出典:マニュアルより

現在に至るまで、レコーディングスタジオにおいて使用されてきたスタンダードな機材であり、歌物収録時はもちろん、バンド録音、ストリングス録音、ミックスダウンなど、多くの場面で使われてきました。特に、演歌においてはリバーブにEMT140しか使わない事もあります。

それ他、ボーカル等のオールラウンド用には残響時間を2.5~3秒に設定、ドラムなどパーカッション系などには1秒前後に設定、さらに長い時間に設定して空間を埋める役割など、1台で様々な使い方ができます。

EMT140をモデリングしたプラグイン

アナログ機材を使わずDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)のみでのミキシングも主流になってきた現在、様々なメーカーがEMT140をエミュレートしたプラグインを販売しています。音質はもちろん、見た目やインターフェイスも実機を強く意識したものが多いですが、そこから更に使いやすさを求めていたり、実機には無い追加の機能をもたせていたりするものも見られます。ここでいくつかご紹介いたします。

アビーロードスタジオに常設された4台のEMT140をモデリングしたプラグインです。うち1台は アンプ部に真空管回路を用いたもの、3台はソリッドステート回路も用いたもので、その4台から選べるようになっています。ちなみに、MIT STUDIOのEMT140のアンプ部は真空管回路です。ソリッドステート回路はS/N比が良い、真空管回路は音に温かみがある、という特徴があります。

EMT140をモデリングしつつも、残響時間を無限大に設定出来る点で、ユニークなプラグインです。使い方によっては印象的なエフェクトを作ることも出来ます。

こちらはモデリングした3台のEMT140から選べるようになっています。また、インプットフィルタの値も簡単に変更でき、更に、プリディレイの設定も可能になっています。

是非本物の「EMT140」をお試し下さい

このように、いくつもEMT140を模したプラグインがありますが、アナログならではの滑らかで深みのあるリバーブ感、また、コントローラーを操作した時に「ゴン」とダンパーが動いた感触が聞こえるのは、実機ならでは。

ご利用に関しては、弊社まで是非お気軽にお問い合わせ下さい。

著者:金子 創姿(音楽エンジニア)

TOPICS一覧に戻る

topへ戻る