- STUDIO
- 2023.02.09
【Pro Tools Tips】楽曲レコーディングやライブで使われる『ステムデータ』の作り方と注意点
今回は、音楽制作・楽曲レコーディング等の現場でよく耳にする『ステムデータ(ステムファイル)』の解説と、DAWソフト『Pro Tools(プロツールス)』を使用したステムデータの作り方と注意点をご紹介します。
まずは、音源データの名称『パラデータ』と『ステムデータ』を解説します。
『パラデータ』は各楽器の単体データ
各楽器の単体データを『パラデータ』と呼びます。例えば、多くの音源に使用されているDrums(ドラムス)は、キック、スネア、ハイハット、タム、シンバル…など、さまざまな打楽器が一つにまとまったものです。Drumsを録音する際には、各打楽器にマイクを立てることが多く、打ち込み音源でも、アレンジャーや作曲家の方に、各打楽器ごとに書き出してもらい、パラデータとしていただくことが多いです。
『ステムデータ』はいくつかの『パラデータ』をまとめたもの
上記のパラデータを、いくつかのくくりで、まとめて書き出したものを『ステムデータ』と呼びます。基本的には以下のようなステムデータがあります。下記をさらに細かく分けて、書き出すことも多々あります。
- メインボーカル
- ハモ、コーラス
- ドラムス
- ベース
- ギター
- 鍵盤系
- ストリングス
- シンセサイザー
Pro Toolsを使ったステムデータの作り方
- ステムデータとして一つにまとめたいトラックを選択し、ソロ(Shift+S)にします。
- 書き出す範囲を選択し、バウンス(Command+Option+B)で保存します。
ここまでの注意点は、必ず選択範囲の頭に空間を作ることです。私は、Pro Toolsの編集画面左上の編集モードをGRIDに設定して、2小節間の無音を含めて書き出すことが多いです。
ステムデータは、書き出したステムデータを並べた時にバランスが整っている状態ですので、各ステムデータの書き出した頭が異なると、曲の始まりがバラバラになってしまいます。そのため、書き出しの頭は必ず揃えなければいけません。また、音量バランスはもちろん、リバーブやディレイなどの、空間系のエフェクトも同時に書き出すため、特に曲終わりなど、音の余韻まで切れてないかも確認が必要です。
- ①〜②の作業を作りたいデータごとに繰り返します。
書き出したデータを並べ、ステムセッションを作ることもあります。レコーディングスタジオでステムデータを使う用途としては、生楽器の差し替えなどです。この時にステムファイルを用いると、とても便利です。歌録りの際も、メインボーカル、ハモ、コーラスなどでステムデータをいただけると、それぞれのパートの音も確認できるのでとても便利です。
ライブ・コンサートでも利用されるステムデータ
レコーディングの際以外でも、アーティスト・バンドがライブ・コンサートを行う際に、ステムデータを用いることがあります。パラデータよりデータが軽く、バランスもある程度取れているため、PAさんが音作りしやすくなります。私たちがライブ用にステムデータを作成する際には、PAさんがデータを見た際に、わかりやすく音作りしやすいよう、細分化したステムデータを作成するよう意識しています。またライブでは、生楽器でないパートだけ、ステムデータを流すこともあります(例:メンバーにピアノがいない場合、ピアノのステムデータを流すなど)。
MIT STUDIOでは、普段のレコーディング作業の他、様々な音源データの作成等も、丁寧に作業を行っております。ぜひお問い合わせお待ちしています!