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  • 2024.05.11

スタジオリファレンスレベルの変更~メンテナンスの様子と調整後の感覚の変化について

こんにちは、MIT STUDIOエンジニアの小島です!今回は2024年2月7日に、一般社団法人日本音楽スタジオ協会(JAPRS)から発表された、「デジタルマルチレコーディングにおけるリファレンスレベル推奨値の改訂」についてお話します。

MIT STUDIOでも、リファレンスレベルを「0VU=-16dBFS」から『0VU=-18dBFS』に変更いたしました。リファレンスレベルとはレコーディングする際の基準値なので、これはとても重要な変更になります。

関連リンク:JAPRSはデジタルマルチレコーディングにおけるリファレンスレベル推奨値を「0VU=-18dBFS」に改定します。(2024年4月1日運用)

リファレンスレベル変更のタイミング

変更のタイミングが、他のスタジオとずれてしまうと、レコーディングする音に、大きな影響があり、データに差異が生じてしまうため、周りのエンジニアの方々にヒアリングしつつ、時期を決めて調整しました。今回は変更に伴うメンテナンスの様子のご紹介と、変更後の感覚の変化についてもお話します。

HD I/Oの調整

MIT STUDIOでは、第1スタジオ、第2スタジオ合わせて、合計6台(96チャンネル分)のHD I/Oがあるため、各スタジオで時間を設けて、メンテナンス作業を行いました。1st、2st共に、据え置きのラック内に埋め込まれている形式になっているため、調整を進めやすくするため、まずは取り外すところからのスタートになりました。

埋め込み式ラック

作業からは少し脱線してしまうのですが、長い間取り外していなかったこともあり中には大量の埃が・・・。特にファン周りには多くついていたので、この機会に!ということで、メンテナンス兼大掃除も行いました。

メンテナンスと共に清掃を行いました

今回のリファレンスレベルの変更は、機材を長く使い続ける、また、日頃のスタジオ作業を円滑にトラブルなく進めるためにも、とてもいい機会だったと感じました(心なしかファンのような音が軽減し、重たいセッションでの作業でも、固まることがなくなったようにも感じています)。

HD I/Oの調整の話に戻りますが、下記は普段あまり見る機会のないHD I/Oの裏側になります。

HD I/Oの裏側

ケーブルが繋がっており、見えにくくて申し訳ないのですが、このマイナスドライバーの先に調整用のツマミが付いてます。このツマミを少しずつ回しながら、インプット、アウトプットのレベルを調整していくという流れになります。

上記で合計96チャンネル分と書きましたが、正確にはそれぞれインプットとアウトプットがあるので、192回ツマミを回して調整したことになります。一見途方もない回数に見えますが、作業に慣れていくうちにスピードアップし、終盤はかなりスムーズに進められました!

調整後の感覚の変化

調整後、まだ数回しかエンジニアとしてレコーディングしていないため、あくまでも現時点での感想になってしまうのですが、率直に今までの音の大きさと、波形やメーターの視覚的情報などの感覚とが、かけ離れているため、かなり難しいです。

「今までと比較して小さいレベルで記録される」、「モニターレベルは今までよりも大きくなっている」、と頭では理解しているつもりでも、感覚的なズレなどもあり、慣れが必要だなと感じました。

耳で判断するのも大事なのですが、どこでレコーディングしてもクオリティのアベレージを保つためにも、視覚的情報も大事にしながら作業に臨んでいます。今後、自分自身でも研究をしつつ、周りのエンジニアの方々にもお話を伺い、意見交換などをしながら、より良い音をお届けできるよう、日々精進です!

MIT STUDIOでは、最新のスタジオ環境でのレコーディングをご提供いたしますので、是非ご相談・お問合せください!

著者:小島 悠輔(音楽エンジニア)

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